今から60年ほど前の1960年代に中央アルプスのライチョウは絶滅しました。
その中央アルプスにライチョウを復活させる事業がスタートするきっかけとなったのは、2018年に絶滅した中央アルプスに1羽の雌ライチョウが飛来したことです。
この雌の遺伝子解析から、この個体は北アルプスから飛来したことが分かりました。
また、中央アルプス山麓の宮田村で絶滅前に中央アルプスで採集された剥製が発見され、その遺伝子解析からも北アルプスの系統であることが分かりした。
これらの結果を受け、環境省は乗鞍岳からライチョウを移植し、中央アルプスにライチョウを復活させる事業に2020年度から開始しました。
2020年度実施事業
乗鞍岳で一か月間ケージ保護した3家族計19羽をヘリで駒ケ岳に8月1日に空輸し、現地の環境に慣らした後に放鳥しました。
2021年度実施事業
翌2021年には、飛来雌1羽に加え、前年に空輸した17羽の計18羽(雄8羽雌10羽)が繁殖しました。
その結果、前年の8月初めの計20羽から、翌2021年の8月初めには計64羽と1年間に3倍以上に数を増やすことに成功しました。
2021年に繁殖した計10雌の家族のうち6家族をケージ保護し、うち4家族は放鳥しましたが、2家族を8月3日にヘリで茶臼山動物園と那須動物王国にそれぞれ降ろし、現在飼育中です。
2家族を降ろした理由は、今年の2022年にこれら動物園で繁殖させ、数を増やしたものをヘリで中央アルプス駒ケ岳に空輸し、放鳥することで、効率的に中央アルプスでのライチョウの数を増やすためです。
順調にいけば、2022年には50羽ほどのライチョウが繁殖することが期待されています。
今後の目標
2025年までに中央アルプスでの繁殖数を100以上に増やすことが当面の目標です。
将来は人の手を借りなくても集団が維持できるレベル(250羽)までに持ってゆくことが最終目標です。