2023年の縄張り調査を終了しました。
南アルプス仙丈岳、北岳・間ノ岳の調査を最後に 今年のなわばり調査を終えました。
最近の中央アルプスでの調査の他に、火打山、焼山、乗鞍岳、南アルプス仙丈岳と北岳・間ノ岳では、長年にわたり標識によるライチョウのなわばり分布調査を実施しています。今年4月の乗鞍岳から始まったなわばり調査は、6月15日~17日の南アルプス仙丈岳と19日~21日の北岳・間ノ岳の調査を最後にすべて終了しました。
今回は、仙丈岳と北岳・間ノ岳の調査結果を報告します。
仙丈岳の調査
仙丈岳の調査(写真1・2)では、3日間で雄11羽と雌2羽の計13羽を確認できました。雄に比べ雌の確認が少ないのは、現在多くの雌が抱卵に入っているからです。
仙丈岳では2013年から標識調査を実施していますが、この年の10月雛に標識した個体が今年も生存していることを確認できました。今年10歳になる最高齢の雄で、仙丈岳の一等地に今年もなわばりを持っていました。
仙丈岳のなわばり数はほぼ安定していて、今年は11なわばりが確認されました。
北岳・間ノ岳の調査
北岳・間ノ岳での調査(写真3・4)では、3日間で雄8羽と雌1羽を確認できました。
北岳山荘での5年間のケージ保護で、この一帯の生息数はいったん増加したのですが、その後は減少しています。今年確認されたなわばり数は11で、仙丈岳と同じ数でした。
間ノ岳の山頂付近で繁殖に失敗し一緒に行動するつがいの雌雄を見つけました(写真5・6)。雌は抱卵中に捕食者に襲われたのか、びっこをひいていました。この地域では、依然捕食者が課題のようです。
本年の山の様子
今年の雪解けは早く、キタダケソウ、オヤマノエンドウなどが花の最盛期を迎えていました(写真7・8・9)。
例年より1~2週間程度 季節が前倒しになっている様です。
今後の予定
ライチョウの雛が孵化するのは、もうすぐです。なわばり調査が終わると、次は中央アルプス駒ケ岳でのケージ保護が始まります。今年も多くの方の協力を得て、ケージ保護が実施されます。その様子をニュースとしてこれからもお伝えしてゆきます。