中央アルプスライチョウ復活報告会

2025年12月20日、中央アルプス麓の駒ヶ根市で、環境省信越自然環境事務所主催の「中央アルプスライチョウ復活報告会」が開催されました。
会場の駒ヶ根商工会館には、年の瀬にもかかわらず会場が満席となる200人を超える方が参加されました(写真1)。
会場の右側には、駒ケ根市と地元の北村忍さんが撮影されたライチョウ写真が展示され(写真2)、左側には信濃毎日新聞に連載された「雷の鳥 次世代への挑戦」が展示されました(写真3)。
さらに、会場の後ろには、書籍、カレンダー、ライチョウグッズ等の販売コーナーが設置されました(写真4)。

続いて報告2では、日本動物園水族館協会ライチョウ計画管理者の秋葉由紀さんが「動物園で実施した野生復帰事業について」と題し、動物園で人の手で育てたライチョウを山に運び、現地の環境に慣らした後に放鳥することで、復活に貢献したことを話されました(写真7)。
報告3は、株式会社ウイルアクトの杉本淳さんによる「中央アルプスで実施したサルの追い払い」です(写真8)。わずか4年間の追い払いで、中央アルプスにサルは夏にほとんど上がって来なくなり、2025年にはその追い払い技術を使って北アルプス燕岳から、大天井岳、常念岳にかけてのサルの追い払いも行ったことが報告されました。
報告4は、信越自然環境事務所の福田真さんが「保護増殖事業の終了と今後のライチョウ保全」と題し(写真9)、今後3年間は、復活した中央アルプスのライチョウ集団がケージ保護や野生復帰等人の手を借りなくても集団を維持できるかを見守り、可能と判断された場合には、2029年にレッドリストのランクダウンをする等の話がされました。

休憩をはさみ報告5として、「ライチョウの保護活動に参加して」と題し、中央アルプス雷鳥サポーターズクラブの北村忍さんが(写真10)、登山者のライチョウに接するマナーの向上、今後は環境省に代わって復活したライチョウを守ってゆく体制の確立が急務と話されました。
最後の報告として、「撮影と取材を通して知ったライチョウの魅力」と題し、信濃毎日新聞社の河西宏樹さん(写真11)が、ライチョウの魅力について話された後、登山者のマナーを確立し、ライチョウと登山者の共存が今後の課題と話されました。
以上の報告後、最後に福田真さんの司会で、「復活した中央アルプスのライチョウの保護と活用の今後」をテーマに、意見交換会が開かれました(写真12)。
ライチョウの復活と共に木曽駒ヶ岳を訪れる登山者が多くなり、どのようにして登山者にライチョウに接するマナーを知っていただき、ライチョウと登山者の両立を図ってゆくか、復活したライチョウを地域の宝として、中央アルプスの自然の保護と活用にどう生かしてゆくのが良いか等について話し合われました。
なお、復活した中央アルプスのライチョウは、乗鞍岳の集団を基にしているので、お礼の意味も込めて、麓の岐阜県高山市で今回と同様の報告会を来年4月に開催したいと環境省信越自然環境事務所からありました。
最後になりますが、今回の写真はすべて、報告会の写真撮影をしていただいた長野県自然保護レンジャーの増村多賀司さんの写真を使わせていただきました。お礼申し上げます。










