今年生まれた雛32羽に標識を終了

2023年9月6日・7日と中央アルプス駒ケ岳を訪れ、今年生まれた雛を捕獲し、成鳥用の足環付けを行いました。

今回は雛11羽を連れた家族を発見でき(写真1)、11羽全員を捕獲し、それぞれに色の組合せが異なる4個の足環を装着し、以後個体識別ができるようにしました。

写真1 11羽の雛を連れた大家族。全雛には、放鳥時に付けた足環が付いている。

この家族の雌(黒黒・黒赤、写真2)は、昨年那須どうぶつ王国で生まれた1歳の雌です。

一か月間ケージ保護した後、自分の雛6羽の他に隣のケージの雛6羽の世話をも引き受け、放鳥後一ヵ月以上が経過した現在も11羽の雛の世話をしている、極めて優秀な雌親です。

写真2 11羽の雛を育てる那須どうぶつ王国生まれの雌

この雌は、野外で雌親に育てられた経験を持っていない動物園生まれの個体でも、山に戻しても十分に子育て可能なことを示唆しています。

ライチョウの子育ては、これまで私が考えていた以上に本能的なものであるのかもしれません。動物園で育てた雛を山に戻す野生復帰に明るい未来を提供してくれたように思います。

 今回は、この家族以外にケージ保護しなかった3家族の雛計8羽にも標識することができました。前回の8月26日と27日の標識雛13羽と合わせ、今回までに計32羽の雛に標識できました。

今後は、宝剣岳以南の中央アルプス中・南部の地域でも今年生まれた雛の標識を実施します。