中央アルプスで今年生まれ雛の捕獲と標識を開始しました

2023年生まれのライチョウの雛達に標識(足環)の装着

ライチョウの雛は、早いものは6月下旬、遅いものでも7月上旬には孵化します。

ですので、雛は8月下旬には孵化から約2ヶ月で、体重は300グラムほどに成長しています(写真1)。

写真1 孵化後58日を経過した雛

この頃には足も頑丈で太くなっていますので、成鳥用の大きな足環が装着可能です。

8月26日と27日に駒ケ岳を訪れた折、成長の早い3家族計13羽の雛を捕獲し、成鳥用の足環を装着しました。

ケージ保護した雛には、放鳥時に家族内の個体識別用に小型の色足環が1個付けられています(写真2)。

写真2 放鳥時に1個の足環を付けられた雛

足環がつけられている雛は、この一個の足環を取り除き、代わりに左右の足に2個ずつ計4個の成鳥用の足環を装着し(写真3)、以後個体識別ができるようにします。

また、ケージ保護しなかった足環のついていない雛も捕獲し、同様に4個の足環を装着し、個体識別ができるようにします。

写真3 放鳥後、4個の足環で個体識別された雛

この雛への標識は、家族がまだ一緒に生活している9月までに実施する必要があります。それ以後は、親子関係が不明になってしまうからです。

8月26日と27日に捕獲して標識したのは以下の3家族です。

駒ヶ岳山頂から木曽小屋のなわばりで繁殖した雌(黒黒・黄空)の家族

 26日の午後、木曽小屋近くで雛5羽をつれたこの家族を発見しました。この家族はケージ保護しなかったので雛4羽には足環が付いていませんでしたが、残り1羽は飛来雌(赤赤・赤赤)の雛で左に緑の足環が付けられていたました。これら5羽の雛すべてを捕獲し、それぞれ4個の色の組合せの異なる足環を装着しました。

第1ケージ飛来雌(赤赤・赤赤)の家族

 27日の早朝、馬の背尾根でヒナ4羽を連れたこの家族を発見しました。雛4羽には、それぞれ左足に赤、空、黒、白の足環が1個ずつついていました。これら4羽の雛を捕獲し、それぞれ4個の色足環を装着しました。

天狗荘ケージ雌(空黒・白黄)の家族

 27日の8時半、駒飼ノ池近くで雛4を連れたこの家族を発見。雛4羽には、それぞれ赤、空、黄、白の足環が1個ついていました。これら4羽の雛を捕獲し、それぞれ4個の色足環を装着しました。

他の家族の雛への標識(足環)装着を引き続き行ってゆく予定です。
このような地道な作業を毎年行っているので、現在中央アルプスで繁殖するほとんどのライチョウは、足環により生まれた場所、親子関係、年齢などが分かっています。