飛来雌今年も無事を確認
連休前半の2025年4月26日から28日の3日間、中央アルプスの木曽駒ヶ岳を訪れました。
同行したのは信濃毎日新聞のカメラマン2名、記者1名、さらに北村忍さん、大竹優子さんです(写真1)。
今年の積雪は平年並みかやや少ない状態でした。
3日間で木曽駒ヶ岳、中岳、伊那前岳一帯で計40羽ほどを確認し、足輪の付いていなかった3羽のうち2羽を捕獲し、新たに標識しました。
調査3日目の28日、木曽駒ヶ岳の馬の背尾根で飛来雌(赤赤・赤赤)と雄(赤空・黒赤)のつがいを発見しました(写真2)。飛来雌は今年11歳です(写真3・4)。
乗鞍岳集団で確認された雌の最高齢は10歳でしたので、それを超える高齢となりました。
つがい相手は、2020年に乗鞍岳からヘリで運んできた今年5歳になる雄で(写真5)、飛来雌は2021年以来5年間にわたり同じ場所で同じ雄とつがいになっていました
飛来雌は2019年と2020年には8卵を産みましたが、その後年々卵数は減少し、昨年の2024年には6卵でした。今年は何卵産むかが注目されます。4年連続子育てに成功していますが、今年も多くの雛を残してくれることを期待したいと思います。
これまで、2021年から4年間にわたり木曽駒ヶ岳でケージ保護を実施してきましたが、今年は実施しないことになりました。
昨年初めて実施した動物園で人の手で育てた雛を山に戻す野生復帰事業は今年もう一年実施し、来年からは実施しません。2026年から3年間は、ケージ保護と野生復帰事業を実施せず、人の助けがなくとも復活した中央アルプスのライチョウが集団を維持できるかを見守り、集団が維持可能と判断された場合には、2029年にレッドリストのランクを現在のIB類からII類にランクダウンする計画です。
今年は、ケージ保護を実施しませんが、動物園で育てた雛と成鳥合わせて30羽を9月10日から30日の20日間にわたり原地の環境に慣らした後に放鳥する計画です。中央アルプス全域のなわばり分布と足輪の確認調査はこれからも実施し、生まれた雛には秋の時期に捕獲し、足輪を装着することは、これからも実施します。