今年も火打山のイネ科植物除去が実施されました

火打山(写真1)のライチョウは、日本最北の繁殖集団で、日本最小の繁殖集団です。

また、日本でライチョウが最も低い場所で繁殖する集団で、最も温暖化の影響を受けている集団でもあることから、現在最も絶滅が懸念されている集団です。

写真1 日本で最も北でライチョウが繁殖する火打山

 火打山のライチョウ保護のために、ライチョウの採食地に侵入したイネ科植物を人為的に除去しライチョウの採食環境を取り戻す環境省事業が2020年から始まり、今年で4年目になります。

今年は、8月23日から25日に40人ほどのボランティアの方の参加を得て実施されました。

参加者は高谷池ヒュッテ(写真2)に宿泊し、そこから1時間ほど歩いて現場に向かいました。

写真2 高谷池と高谷池ヒュッテ

今年は、「ライチョウ平」に2ヶ所(写真3)、火打山の山頂直下に2ヶ所(写真4)に枠を設置し、イネ科植物の除去を実施しました。

写真3 ライチョウ平に設置した枠でのイネ科植物除去作業
写真4 火打山山頂直下でのイネ科植物除去作業

 私の方では、この3日間、火打山のライチョウの生息状況を調査しましたが、糞や羽等の痕跡は発見できましたが、ライチョウの姿を発見することができませんでした。

今年の春の調査では、火打山のなわばり数は4で、生息数個体数は10羽ほどと推定され、過去最低であることが分かりました。

 今回のライチョウ調査の折、影火打山北斜面の雪渓が残っている場所の周りで、一カ月遅れに一面に咲くハクサンコザクラを見つけました(写真5)。

この花も温暖化の影響によるイネ科植物の繁茂で、かつて火打山の各地で見られた見事なお花畑は失われています。

写真5 影火打の雪渓の周りに咲いていたハクサンコザクラ

ライチョウの採食地からのイネ科植物の除去は、火打山にかつて見られたハクサンコザクラやウサギギクなどのお花畑を取り戻すことにもなります。

 火打山のライチョウをここまで減少させた主な要因は温暖化です。温暖化をもたらした原因は我々の人間活動ですので、人の手でこれからも火打山のライチョウを守る活動「ライチョウ平にライチョウを取り戻す活動」を続けることができればと思います。