中ア駒ケ岳で飛来雌が今年も無事であることを確認しました
4月27日~29日に今年初めて駒ケ岳のライチョウ調査を実施しました。
調査に同行いただいたのは記者の唐澤翔さんと写真家の大島隆義さんです(写真1)。
例年に比べると今年は雪が少ないという印象でした(写真2・3)。
3日間の調査で、50年ぶりに中央アルプスに飛来した飛来雌(赤赤・赤赤)が今年も無事であることを確認できました(写真4)。
飛来雌は、2020年に乗鞍岳からヘリで運んだ家族の雛のうち、翌2021年に1歳となった雄(黄黄・青青)と初めてつがいとなり、以後今年まで3年間同じなわばり雄とつがいになっていました(写真5)。
飛来雌の無事を確認できたのは、馬の背尾根の急傾斜地です。他の雄と争った後、雄が戻った急傾斜地に雌らしい個体がいることに気づきました。しかし、遠くて足環の色が確認できません。そのため、意を決しアイゼンとピッケルで急傾斜地を降り、足環から飛来雌であることを確認できました。
飛来雌は、2018年に発見されたときに1歳とこれまで判断してきましたが、その後2015年に駒ケ岳で撮影された雌の動画がユーチューブで見つかったことから、この雌はそれ以前に駒ケ岳に飛来しており、今年で9歳になると判断が修正されました。飛来雌は極めて高齢となっていることがわかりました。
2019年以来毎年この時期には、飛来雌の無事かが注目されてきましたが、5年目にあたる今年も無事であることが確認でき、こんなにうれしいことはありません。飛来雌が生きていてくれることが、これまでの中央アルプスにライチョウを復活させる事業の大きな励みになってきました。高齢ですが今年も繁殖し、無事に雛を育ててくれることを願っています。
今回の調査では、このつがいの他に、計10個体を確認でき、そのうち未標識であった1雄を捕獲し、足環を装着しました。
伊那前岳の山頂付近で、昨年と同様のつがいが今年も同じ場所でつがいになっていることも確認できた(写真6)ほか、昨年生まれの個体も何羽か繁殖活動を開始しているのを確認できました。
まだつがいになっていない個体がいることから、中央アルプス北部にあたる駒ケ岳、伊那前岳、木曽前岳、将棋の頭一帯の今年の繁殖つがい数は、今後さらに調査を続けないと確定できません。