中央アルプス北部におけるなわばり数の増加を確認(2023年5月)

 2023年5月19日・20日、中央アルプス北部にあたる駒ケ岳、伊那前岳、木曽前岳、将棋の頭を含む地域で、今年2回目の調査を実施しました。

その結果、宝剣岳以北にあたるこの地域で計15のなわばりを確認しました。初年度2021年は6なわばり、昨年2022年は9なわばりでしたので、この地域のなわばり数は確実に今年も増加しています。

 調査に同行いただいたのは唐澤記者、宇賀神志保さんです。2日間で雄12羽、雌8羽の20羽を確認できました。全個体標識個体で履歴がすべてわかっている個体です。

駒ヶ岳山頂付近で、飛来雌9歳(赤赤・赤赤)とその雄3歳(黄・青青)のつがいを観察できました(写真1、動画1)。飛来雌は3年間とも同じ場所で同じ相手とつがいになっています。

写真1:飛来雌
動画1:木曽駒ケ岳山頂付近で、昨年と同じ雄とつがいとなりなわばりを持った飛来雌

同じ山頂木曽小屋側で見張り行動をする1歳の雄(黒黒・黄緑)を撮影できました(動画2)。
この雄は、昨年那須どうぶつ王国で生まれ、ヘリで駒ケ岳に野生復帰した個体です。

動画2:山頂木曽小屋付近で見張り行動をする那須動物王国生まれの雄

伊那前岳の山頂付近では、同じく昨年那須どうぶつ王国からの1歳雌(黒黒・黄白)と昨年の飛来雌子供の1歳雄(黒黒・赤白)がつがいとなっていました。

写真2は、風で飛ばされてきて雪渓に落ちている昆虫をつがいで食べている写真です。

写真2:雪渓に落ちている昆虫を採食するペア

伊那前岳の稜線中央付近では、昨年も同じ場所になわばりを持った2歳の雄(空空・黒空)と那須どうぶつ王国生まれの1歳雌(黒黒・黒赤)がつがいとなっていました。昨年のつがい雌がいなくなったため、新たな雌とつがいとなりました。

この雄(写真3)は、昨年からなわばり行動を活発に行う雄で、今年も活発に行っていました。

写真3:なわばりを見張る雄

那須どうぶつ王国で昨年生まれた個体は、このほか将棋の頭で1雄が確認されていますので、計4羽が中央アルプス北部で繁殖していることが確認できました。
動物園で育てた個体の野生復帰が完全に成功していることが、今回の調査で明らかとなりました。

中央アルプス中・南部の調査は、5月25日~29日の予定で、別のチームが調査に入ります。